TEGシリーズ

TEG Series
基本解説
シリーズ商品
  • 【発売元】
    トミー
    Tomy
  • 発売日
    1979年11月~1980年10月
  • 【価格】
    ※各機種のページに記載
  • 【表示方式】
    LED(発光ダイオード)または
    FL(蛍光表示管)

 1979年末から約1年間トミーが展開した電子ゲーム機のシリーズ。「TEG」は「トミー・エレクトロニクス・ゲーム(TOMY ELECTRONICS GAME)」の各単語の頭文字をとったもので「テッグ」と読む。もともとトミーはLEDを使用したエレメカゲーム機の開発を得意としており、米国および日本で人気を集めた『ブリップ』(1977年)、短期間で100万台以上売れた『ブラックレーサー』(1978年)と、ヒット商品を連発していた。そして1979年4月にも新作『レッドミサイル』を投入するが、このようにエレメカゲーム機に注力していた影響で、電子ゲーム機の開発に関しては先行メーカーよりも少し後手に回った印象は拭えない。それをカバーするかのように登場したのが、海外の有力電子ゲーム機をトミーブランドの商品に作り替えた「MC(超マイコン)シリーズ」。しかし、1作目の『ミサイル遊撃作戦』を1979年4月に発売した直後、同シリーズは立ち消えになってしまった(詳細はこちら)。それから約半年後に、トミーが満を持してリリースを開始した自社製電子ゲーム機がTEGシリーズである。

 TEGシリーズを構成する機種は、既存のジャンルの製品に独自の味付けを施していたり、過去に電子ゲーム機で扱っていない題材をもとに作られていたりするのが特徴(CGWM TRIVIA①を参照)。老舗玩具メーカーであるトミーらしい着眼点が感じられるシリーズと言えるだろう。しかしながらセールス面においては、月刊「トイジャーナル」および「トイズマガジン」の売れ筋調査を見るかぎり、同時期の他社の人気商品ほどの結果は残せていない。1979年の夏商戦で他社の主力機種が出揃っていた中、同年11月に似たタイプの2機種でスタートしたTEGシリーズが苦戦を強いられるのは避けられないことだった。そして翌年の1980年は電子ゲーム機の表示方式がLED(発光ダイオード)からFL(蛍光表示管)やLCD(液晶)へ本格的に移行を始めた年。その流れに合わせてTEGシリーズも『スペースインベーダー』風のFLゲーム機『TEGスペースアタック』を1980年4月にリリースするが、同ジャンルの機種としてはLED機『ミサイルインベーダー』(バンダイ/1979年7月発売)、FL機『インベーダー』(学習研究社/1979年11月発売)がすでに人気を集めており、流れを大きく変えるまでには至らなかった。1980年10月発売のカラー版『TEGスペースアタック』を最後にTEGシリーズの名称を封印したトミーは、仕切り直すかのように電子ゲーム機の開発を加速。1981年以降に、FL機『パックマン』『スクランブル』に代表されるTOMY LSI GAMEシリーズや、腕時計をベースにしたウォッチマンシリーズ、立体視を実現した3D立体グラフィックゲームシリーズなど、さまざまな方向性の機種を生み出していく。

トミーが1977年にリリースしたエレメカゲーム機『ブリップ』。ゼンマイとLEDを併用してピンポン風のゲームを実現しており、先行発売された米国で人気を集め、そのあと日本でも販売された。

エレメカゲーム機におけるヒット作『ブラックレーサー』(1978年発売)。シフトレバーでスピードを調整しながら、2列の走行レーンを異なる速度で走る敵車をかわしていく。

1979年4月に発売されたエレメカゲーム機『レッドミサイル』。左右へ移動していく敵機をミサイルで撃破し、時間内の得点を競う。

1979年11月には『レッドミサイル』のインベーダー版と言える『レッドミサイル スペースアタック』が登場。敵機がベーダーマンやUFOに差し替えられている。

TEGシリーズは、各種のエレメカで技術力の高さを発揮していたトミーが初めて自社で製作した電子ゲーム機。パッケージの左上に記されたロゴが目印だ。

トミーの1980年版ミニカタログには、「TEG」は「テッグ」と読むということが書かれている。

TEGシリーズのスタートを飾った『TEG野球』。この連続写真のように、打球の飛んでいく様子をLEDで再現しているのが特徴。

『TEGブロックアタック』は、ボタンひとつでボールを打ち返していく異色のブロックくずし。

シリーズ初のFL機として『TEGスペースアタック』が登場。約半年後には、セロハンを使ったカラー画面版もリリースされた。

【CGWM TRIVIA①】
国内初の題材を複数扱っていたTEGシリーズ

 トミーと言えば、1970年代にポケットメイト(1975年~)やエレメカゲーム機(1977年~)などの独創的な小型ゲーム機を開発した会社。オリジナリティにこだわるその精神はTEGシリーズ(1979年~)にも受け継がれており、『TEG野球』のように他社とは異なるアイデアが盛り込まれている機種もあれば、『TEGピンボール』のように携帯型電子ゲーム機としては日本初の題材を扱った機種も複数ラインナップされている。その具体的な内容を以下にまとめてみた。

●『TEG野球
 1979年は電子野球ゲームの激戦の年だったが、他社製品はいずれもバンダイ製『ベースボール』と同じ打撃の表現方法(フィールド上のLEDが順番に点灯していき、止まった場所によって打撃の結果が決定)を採用していた。それに対して『TEG野球』は、一直線に並べたLEDを流れるように光らせて、打球の飛んでいく様子を再現している。

●『TEGサッカー』『TEGバスケットボール
 サッカーやバスケットボールのLEDゲーム機は、マテル社製の『サッカー』『バスケットボール』が元祖で、敵選手に触れないように移動してシュートを放つというシステムが一般的だった。それに対して『TEGサッカー』『TEGバスケットボール』では、攻撃側はパスをつないでシュートまで持ち込み、防御側はタイミング良くパスカットできるかに挑むという仕様に変更している。

●『TEGバレーボール
 バレーボールを題材にした携帯型電子ゲーム機としては世界初の製品。

●『TEGピンボール』『TEGブロックアタック』『TEGテニス
 ピンボール、ブロックくずし、テニスを題材にした携帯型電子ゲーム機としてはいずれも日本初の製品。『TEGピンボール』と『TEGブロックアタック』は1980年4月中旬、『TEGテニス』は1980年7月中旬発売。なお、それぞれの題材ごとの世界初と思われる携帯型電子ゲーム機については、下の写真を参照。

『TEGバレーボール』は、世界で初めてバレーボールを題材にした携帯型電子ゲーム機。遊びの内容は『サイモン』のアレンジ版とも言えるもの。

ピンボールを扱った世界初の携帯型電子ゲーム機は、1979年に米国で登場したLED機『ワイルドファイア』(パーカーブラザーズ社)と『ロケットピンボール』(タイガー・エレクトロニック・トイズ社)のどちらかだと思われる。

ブロックくずしを題材にした世界初と思われる携帯型電子ゲーム機は、1979年に米国でメゴ社が発売したFL機『ブレイクフリー』。カートリッジ交換式携帯ゲーム機にまで範囲を広げると、同じ1979年に米国でミルトン・ブラッドリー社がブロックくずしのソフト『ブロックバスター』付きで『マイクロビジョン』を発売している。

テニスの名前を冠した世界初の携帯型電子ゲーム機は、『TEGテニス』か、同じ1980年に米国でエンテックス社が発売したLED機『テニス』のどちらかだと思われる。なお、テニスという単語は使用されていないが、ひとつ前の写真の『ブレイクフリー』にも『ポン』タイプのゲーム(いわゆるポンテニス)が収録されている。

【CGWM TRIVIA②】
TEGシリーズには加わらなかった『ブラックレーサー』

 1978年に発売された『ブラックレーサー』は、トミーのエレメカゲーム機を代表する機種。トミーの社史をまとめた上製本「トミー75年史~真の国際優良企業を目指して」によると、1978年と1979年の2年間で合計100万台を突破する大ヒット商品になったという。その『ブラックレーサー』には、ふたつのバージョンが存在する。1978年に登場した前期版は、単3電池2本で動作し、価格は2,900円。一方、1980年夏に登場した後期版は、単2電池2本で動作し、価格は3,500円。後期版ではパッケージもリニューアルされたが、その際に箱の左上の英文字が「TOMY ELECTRONICS GAME」から「TOMY RACING GAME」へと変更されている。これは「TOMY ELECTRONICS GAME」のままだとTEGシリーズと一致してしまうため、電子ゲーム機とエレメカゲーム機を区別する目的で差し替えられたと推測される。

前期版『ブラックレーサー』のパッケージ。

左上に「TOMY ELECTRONICS GAME」と記されている。

後期版『ブラックレーサー』のパッケージ。

左上の英文字が「TOMY RACING GAME」に差し替わった。

左が前期版、右が後期版『ブラックレーサー』の本体。後期版は使用する電池が単3から単2に変更されたため、サイズが大きくなった電池ボックスが本体の左側に突き出ている。

TEGシリーズの機種は商品名の冒頭に「TEG」が付くのが正式名称で、カタログや広告などでもその形で表記されている。『ブラックレーサー』はこの点でもTEGシリーズに含まれない。

【CGWM TRIVIA③】
発泡スチロールにも改良の跡が

 TEGシリーズの本体は2個の発泡スチロールに挟まれてパッケージに収納されているが、『TEGブロックアタック』はその発泡スチロールにも時期によって改良が加えられている。下の写真は前期版と後期版の発泡スチロールを比較したもの。前期版の発泡スチロールは箱から取り出しにくかったが、後期版には指を引っかけるくぼみが用意されている。

下側が前期版、上側が後期版の発泡スチロール。前期版のパッケージでは、この状態の発泡スチロールを引き出すことは難しく、本体の左右に指を引っかけて取り出さざるを得なかった。

左側が前期版、右側が後期版の発泡スチロール。後期版の発泡スチロールは上下にくぼみが用意されているので、そこに指をかけて本体を挟んだまま取り出せる。

『TEGサッカー』と『TEGバスケットボール』は箱にくぼみが付いており、発泡スチロールを改良する必要はなかった模様。

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