Bandai
1978年7月に発売された『ベースボール』の改良版。チェンジアップ、盗塁、ダブルプレイ、タッチアップという4つの要素が追加され、カウント表示部やサウンド面なども進化を遂げている。『ベースボール』よりも完成度が高まり、電子野球ゲームのジャンルにおけるロングセラー商品となった。
左が『ベースボール』、右が『LSIベースボール』。ボタンの数や位置など、外見にも細かな調整が施されている。
新要素を中心としたセールスポイントの数々は、パッケージにしっかりと記載。
ビッチャー側の右端に追加されたチェンジアップキー。このキーを押している間は、投げた球のスピードが速くなる。
バッター側の右端に追加されたスチールキー。ランナーが1塁にいるとき、投球がホームベース上を通過する約0.25秒間にスチールキーを押せば盗塁成功。
フィールドにはファールのLEDが追加された。バッティング可能範囲でもっとも早く(または遅く)バッターキーを押したときに、打撃結果がファールとなる。
比較用に載せておく、初代『ベースボール』のバックスクリーン付近。カウントはすべて赤いLEDで表示される。
『LSIベースボール』のバックスクリーン付近。S(ストライク)、B(ボール)、O(アウト)のカウント表示が実際の野球場のようにカラフルになった。
左が『ベースボール』、右が『LSIベースボール』のスコアボードのパーツ。微妙に形状が違うため、『ベースボール』のパーツを『LSIベースボール』の本体に流用はできない(その逆は可能)。
電源として9ボルト角形電池を使用。ちなみに『ベースボール』は単3電池3本だったので、これも変更点のひとつ。
『LSIベースボール』は本体の各所に「LSI BASEBALL」と記されているが、その表記が「BASEBALL」だけになっているバージョンも存在する(ここではそのバージョンをLSI非表記版と呼ぶ)。LSI非表記版は、下の写真のようにボタンの表記やLEDの表示具合も異なるという特徴を持つ。なぜこのようなバージョンが存在するのか疑問を感じさせるLSI非表記版だが、その謎を解く鍵と思われるものがバンダイの「1979~80総合カタログ」の中にあった。
同カタログは1979年5月頃の情報をもとに作成されており、4月25日発売の『Newサブマリン』(※『サブマリン(NEWバージョン)』の広告などでの通称)が「発売中」と掲載されている。そして6月発売予定と紹介されているのが、初代『ベースボール』の改良版である『Newベースボール』――そう、名前が『LSIベースボール』ではないのだ。つまり『LSIベースボール』は当初、『サブマリン(NEWバージョン)』と同じように『ベースボール』の名前のまま発売される予定で、カタログや広告には『Newベースボール』の通称で掲載されていた。それが急遽『LSIベースボール』への改名が決まったことで、下の写真のようにフタや本体裏のシールに変更が入った可能性は高い。LSI非表記版は、その時期に製造済みだった改名前の本体が何らかの事情で市場に流通したものと考えることもできそうだが、果たして……?
パッと見ただけだと、どちらも同じ『LSIベースボール』のように思ってしまうが……。
下側が本来の『LSIベースボール』で、上側がLSI非表記版。このフタは初代『ベースボール』のものとは形状が異なるので、『LSIベースボール』型の本体用に作られたフタであることは間違いない。
本来の『LSIベースボール』の本体裏側には、このようなシールが貼られている。機種名の表記は「LSI BASEBALL」。
一方、LSI非表記版の本体裏のシールには、「LSI BASEBALL」ではなく「BASEBALL」とだけ記されている。
ボタンの表記にも違いがある。下側は本来の『LSIベースボール』のもので日本語表記。それに対して上側がLSI非表記版のボタンで、英語が使われている。
本来の『LSIベースボール』のLED表示は、アウトカウントの表示と同じくらい丸い円になっている。これは初代『ベースボール』のときから変わっていない。
ところがLSI非表記版では、LEDがドットのように小さく表示される。この表示のしかたは、『ゴルフコンペ(初期バージョン)』の後期版とよく似ている。
基本的に上記のLSI非表記版が収納されているパッケージは、本来の『LSIベースボール』のパッケージとは下の写真のような点が異なる。
左側は本来の『LSIベースボール』のパッケージで、右側はそれとは少々違うパッケージ。右上部分に「Newタイプ!!」のシールが貼られていないということ以外にも相違点がある。
箱のフタの部分を比較。どこが違うか、おわかりになるだろうか。
ひとつ前の写真を拡大。下側が本来の『LSIベースボール』のパッケージで、英文字+カタカナで「LSIベースボール」と記されている。それに対して上側のパッケージは「ベースボール」のカタカナだけになっている。
パッケージに描かれたイラストにも注目。こちらは本来の『LSIベースボール』のもの。
カタカナが「ベースボール」だけのパッケージのイラストは、文字が大きすぎてバランスがいまひとつ。これが修正されて本来の『LSIベースボール』のイラストになったのだろう。