デジカセ

Digi Casse
基本解説
カートリッジ
  • 【発売元】
    バンダイ
    Bandai
  • 【発売日】
    1983年
  • 【価格】
    各セット6,000円
  • 【カートリッジ】
    4種類(2種類ずつ本体に付属)

 任天堂の『ゲーム&ウオッチ』(1980年発売)で火がついた第一次電子ゲームブームも落ち着きを見せはじめていた1983年に、液晶ゲームでカートリッジ交換を実現させようというコンセプトで登場したゲーム機。とはいえ、ゲームを駆動させるための電子回路や液晶画面はカートリッジ側に搭載されているため、本体は電源の供給とコントローラの操作判定、およびサウンド(効果音)の出力を担当しているに過ぎない。

 本体と2個のカートリッジがセットになってパッケージ化されており、『シティターボレース』『宅急便』が同梱された『デジカセAセット』と、『富士山爆発』『ハゲランス』が同梱された『デジカセBセット』が存在する。どちらのセットも本体は同じものなので、たとえば『デジカセAセット』の本体で『デジカセBセット』のカートリッジを使うことも可能だ。

 4本のゲームそれぞれに、シティターボ、配達ペンギン、マグマン、ハゲランス君といったキャラクターを立てているあたりに、キャラクター玩具をお家芸とするバンダイらしさを感じさせる。

『デジカセAセット』の中身。『デジカセ』という名称は、『デジタル カセット』を略したものだと思われる。

『デジカセBセット』の中身。

本体のコントローラ部分は、小さなジョイスティックとボタン1個で構成されている。左下にはサウンドのON・OFFを切り替えるスイッチと、ゲームの難易度を決めるセレクトキーが並ぶ。

カートリッジを外したときの端子部分。端子のピンの数は10個。

本体とカートリッジに記されたシリアルナンバーの下3ケタは同じ。ひとつのパッケージ内で複数のアイテムにシリアルナンバーを付けているあたりに、バンダイの商品管理の丁寧さを感じさせる。

最初の発表時は、本体のデザインやカートリッジの色が異なっていた(月刊『トイジャーナル』1983年6月臨時増刊号より)。

【CGWM TRIVIA】
ヨーロッパでも『デジカセ』は発売されたが……

 『DIGI CASSE』というスペルがフランス語のような雰囲気を漂わせているからか、『デジカセ』はヨーロッパでも発売された(1986年発売との情報あり)。しかし、名前こそ『デジカセ』ではあるものの、ボタンの形状が日本版とは異なるうえ、パッケージにも本体にもバンダイの社名は記載されていない。また、日本版の本体裏には「MADE IN JAPAN」と刻まれているが、ヨーロッパ版の本体裏に書かれているのは別の国名。さらに、端子のサイズが異なるため、ヨーロッパ版のカートリッジを日本版の本体で使うことはできない。――以上を踏まえると、ヨーロッパ版の『デジカセ』は、日本版の『デジカセ』に似せて作られてはいるが別物と考えて良さそうだ。

 なお、ややこしいことに、ヨーロッパ版の『デジカセ』には香港製のものと中国製のものが存在する。香港製の対応カートリッジは、以下の4タイトル。とはいえ、ドット絵が違うだけで4タイトルのゲーム内容はほぼ共通なので、商品としての魅力は日本版の『デジカセ』よりも遥かに劣る。
・Pelican
・Submarine
・Penguin
・Frog and Insects

 一方、中国製は、ゲーム画面の縦横比が日本版とは異なるのが特徴。さらに、パッケージのイラストからゲーム画面が消されていたり、本体裏の「MADE IN~」の刻印がシールで済まされていたりと、香港製よりもさらに偽物感が強くなった印象は否めない。中国製のパッケージ裏には、対応カートリッジとして以下の10タイトルが英語・フランス語・ドイツ語で並記されている。
・BEAR&SALMON
・SHARKS
・ARCHER FISH
・COWBOY/RODEO
・BASKETBALL
・VOLLEY BALL
・TENNIS
・SOCCER
・ICE HOCKEY
・AMERICAN FOOTBALL

上が香港製、下が中国製のヨーロッパ版『デジカセ』のパッケージ。中国製のイラストでは、ゲーム画面が描かれていない。また、中国製の実際のゲーム画面の縦横比は、イラストで描かれたものとは異なる。

左から、日本版、香港製ヨーロッパ版、中国製ヨーロッパ版の本体。日本版では上下左右に入力できるのに対して、ヨーロッパ版では左右にしか入力できない。ヨーロッパ版の赤い4つのボタンの上側2つは、セレクトボタンとスタートボタンだ。

本体の裏側も並べて比較。日本版がボタン電池2個を使うのに対して、ヨーロッパ版はボタン電池1個で動作する。また、日本版は「MADE IN JAPAN」、香港製ヨーロッパ版は「MADE IN HONG KONG」とプラスチックに刻まれているが、中国製ヨーロッパ版は「MADE IN CHINA」のシールが貼られているのみ。

香港製ヨーロッパ版のカートリッジのひとつ『サブマリン』。海上の船からミサイルを撃ち、海中を移動する潜水艦を破壊していく。

中国製ヨーロッパ版のカートリッジのひとつ『テニス』。飛んできたボールの位置にプレイヤーを移動させれば打ち返せる。テニスなのに複数のボールが同時に出現することも。なお、香港製ヨーロッパ版と中国製ヨーロッパ版は、カートリッジに互換性がある。

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