ミサイル遊撃作戦
Missile Guerilla Warfare Maneuver
基本解説 |

TomyEmix 1978年9月に米国でバンビーノ社が発売した『UFOマスターブラスターステーション』の名称を変えたバージョン。日本で初めてFL(蛍光表示管)によってミサイルやUFOなどを表示した電子ゲーム機でもある。開発した日本の電子機器メーカー・エミックス社は1978年の時点で『UFOマスターブラスターステーション』の国内販売を模索していたが、日本の玩具流通の参入障壁の高さから、ロサンゼルスにバンビーノ社を設立してそこを拠点とした輸出販売に舵を切っていた。その約半年後、日本を代表する玩具会社のひとつであるトミーが『UFOマスターブラスターステーション』の国内販売を引き受け、商品名を変更してリリースしたのが『ミサイル遊撃作戦』である。
本体の仕様やゲーム内容は『UFOマスターブラスターステーション』と同一。細かな違いとして挙げられるのは、上部に記された社名が「bambino」から「TOMY」に変わっていることと、本体裏のシールが日本語表記になっていること。本体裏のシールやパッケージ裏には、トミーとエミックス社の提携関係を示すように「製造元 エミックス株式会社」と「発売元 トミー」が並記されている。
なお、『ミサイル遊撃作戦』は「MCシリーズ」の第1弾としてリリースされた。「MCシリーズ」は「超マイコンシリーズ」と読み、トミーが電子ゲーム機のジャンルに本格参入した最初のシリーズだが、極めて短い期間で姿を消している(「CGWM TRIVIA」を参照)。

ミサイルを左右に誘導し、飛来するUFOを迎撃していく。オリジナル版である『UFOマスターブラスターステーション』との微妙な違いは、以下の写真を参照。
【本体の違い・その1】
上部に記された社名が、『UFOマスターブラスターステーション』では「bambino」、『ミサイル遊撃作戦』では「TOMY」。


【本体の違い・その2】
『ミサイル遊撃作戦』では、本体裏のシールが日本語表記のトミー版に変わっている。

参考までに、こちらが『UFOマスターブラスターステーション』の本体裏のシール。
パッケージ裏には、エミックスとトミーの社名が同格の扱いで並記されている。製造元の社名がここまで大きく載っている電子ゲーム機は珍しい。

『ミサイル遊撃作戦』のパッケージに記載された「MCシリーズ」とは、同機種を起点にトミーが立ち上げようとした電子ゲーム機のシリーズ名。それまでは自社が得意とするエレメカの開発に注力していたトミーだったが、他社製品を自社ブランドとして展開するMCシリーズによって電子ゲーム機の分野に本格進出しようとしていた。
確認できる範囲では、MCシリーズという名前が初登場したのは月刊「トイジャーナル」1979年3月号の『ミサイル遊撃作戦』の広告。「MC」には「超マイコン」とルビが振られていた。つづいて「トイジャーナル」1979年7月号の「トミーよりMCシリーズ」という広告において、そのラインナップが『ミサイル遊撃作戦』と近日発売予定の『ドクター・スミス』『フットボール』の3機種だと明らかになる。『ドクター・スミス』はパーカーブラザーズ社のヒット作『マーリン』の名称変更版であるのに対して、『フットボール』の欄には米国でバンビーノ社が発売していた『スーパースター・フットボール』(開発元は『ミサイル遊撃作戦』と同じくエミックス社)の写真が掲載されていた。
この直後、MCシリーズに異変が起こる。1979年8月に登場した『ドクター・スミス』には、パッケージにも説明書にもMCシリーズの名前は記されていなかった。また、年末商戦に向けたトミーの広告には、MCシリーズの名前ばかりか『ミサイル遊撃作戦』と『フットボール』も掲載されなくなる。そもそも『フットボール』は、日本版の写真も実機も確認されておらず、発売中止になった可能性が高い。結果として、MCシリーズの名前が残っているのは『ミサイル遊撃作戦』のパッケージのみというのが最終的な状態になってしまった。
MCシリーズが立ち消えになったのは『ミサイル遊撃作戦』のセールスに問題があったからかというと、そんなことはない。「トイジャーナル」1979年12月号の「ヒット商品に見るこの1年の動き」という記事の4月の欄では「LSIゲームのブームに火を点けたといえるトミーの『ミサイル遊撃作戦』がアッという間に品切れをきたした」と書かれており、発売前の想定を上回る売れ行きだったことがわかる。おそらくトミーとしては、この勢いに乗って『ノッケムアウト・ボクシング』『スペースレーザーファイト』などのエミックス製の人気機種もMCシリーズとして国内展開することを視野に入れていたはずだ。にもかかわらず、『ミサイル遊撃作戦』発売からわずか4ヵ月後の1979年8月にはMCシリーズの名前の使用を中止し、その後の広告からエミックス関連の商品名も消したということは、何らかの問題が発生したと考えて間違いないだろう。翌1980年の4月に『ミサイル遊撃作戦』と『フットボール』を含むエミックス製のゲーム機(バンビーノFLゲーム機)は、米国版の機種名のまま河田(のちのカワダ)を通して日本での販売が開始されている。この事実から推測すると、MCシリーズが継続されなかったのは商品に問題があったためではなく、エミックス社とトミーとの間で何かしら折り合いのつかない事態が生じたためだった可能性が高い。
MCシリーズを凍結したトミーは、1979年末に「TEGシリーズ」という自社製電子ゲーム機のシリーズをスタートさせる。そして1982年には、同じ『ミサイル遊撃作戦』という名前で内容の異なるエレメカゲーム機をリリースするのだった。

トミーの社名と同じ色で記載された「MCシリーズ」の文字。このシリーズ名が残っているのは『ミサイル遊撃作戦』のパッケージのみとなってしまった。
1982年にトミーがリリースしたエレメカゲーム機『ミサイル遊撃作戦』。アーケードゲームシリーズのひとつで、アップライト筐体のような形状をしている。ゲーム内容は、画面奥を右から左へ移動する敵宇宙船を10発のミサイルで撃ち落としていくというもの。

エレメカゲーム機『ミサイル遊撃作戦』のパッケージのタイトル部分。「ARCADE GAME」の文字を強調したデザインになっている。
