NTVアメリカ横断ウルトラクイズ
Ultra Quiz Machine基本解説 | 関連商品 |
Tsukuda Original
1978年に米国でコレコ社が発売した『クイズ・ウィズ』の日本版。当時人気のクイズ番組『アメリカ横断ウルトラクイズ』の名を冠するゲーム機として、1980年にツクダオリジナルから発売された。ただし、名前を使用しているだけで、同番組に沿ったゲーム内演出などは用意されていない。
ゲーム機本体に、カートリッジと一体化したブックカバーおよび問題集「クイズブック1」が付属しており、本体とカートリッジを接続すればさまざまなジャンルの1001問に挑める。各問題はA~Dから答えを選ぶ4択形式で、126問目の回答がBだと思ったら「126B」と入力するという遊びかたは『クイズ・ウィズ』と同じだ。
ちなみに、「クイズブック1」の1問目は、以下のとおり。
「元巨人軍長嶋監督の背番号は?」
A 3
B 90
C 1
D 60
『クイズ・ウィズ』が米国で少なくとも4~5年間は商品展開されていたのに対して、『NTVアメリカ横断ウルトラクイズ』は日本市場であまり話題にならず、極めて短命に終わった印象が強い。その理由としては、1980年にもなると『ゲーム&ウオッチ』などのすぐれた電子ゲームが登場していたのに加え、先行発売されていたトイボックス社の『クイズマシン∞』の影響も少なからずあったように思われる。『クイズマシン∞』は同じクイズゲームのジャンルの電子ゲームだが、テレビ番組『クイズタイムショック』を疑似体験するようなモードが組み込まれており、ひたすら一問一答していくだけの『NTVアメリカ横断ウルトラクイズ』よりも遊び心を感じられる内容だった。月刊「トイジャーナル」1980年11月号には、「『クイズマシン∞』が夏期商戦で活躍した」と、その販売状況がそれなりに好調だったことが書かれている。
本体は米国版と同じものだが、「QUIZ WIZ」のシールの代わりに「ULTRA QUIZ MACHINE」のシールが貼られている。リージョンコードなどはないので、米国版やイギリス版のカートリッジをそのまま使うことも可能。
ブックカバーの構造も米国版と共通で、正面にデザインされているのは「アメリカ横断ウルトラクイズ」のロゴ。同番組としてはゲーム機に対する初のライセンス許諾品だからか、日本テレビを意味する「NTV」の文字が本来のロゴの頭に追加されている。
本体とクイズブックをブックカバーにセットしたところ。クイズブックは裏表紙をブックカバーのポケットに差し込んでいるだけなので、このままの状態でページをパラパラとめくることができる。
クイズブックの巻頭では、本体のセットのしかたと操作キーについて説明されている。「コンピューター・ユニット」という本体の正式名称は今となっては仰々しさを感じさせるが、当時は違和感のないネーミングだったのだろう。
『NTVアメリカ横断ウルトラクイズ』には、冒頭の写真の緑パッケージ以外に、下に載せた赤パッケージの商品も存在する。どちらも同梱されているのは、同じ「クイズブック1」の色違い。となると2色のカラーバリエーションが同時期に発売されたと思いたくなるが、そうではないようだ。
ふたつの「クイズブック1」をよく見比べてみると、赤バージョンのほうは漢字にすべてルビ(ふりがな)が振られている。また、緑バージョンにあった誤植も、赤バージョンでは正しく修正されている。これらの事実から導き出せるのは、赤バージョンは緑バージョンのリリースからしばらく経ってから発売されたということ。そうであるなら、登場直後の1980年末~1981年初頭にかけてオンエアされたテレビCMでは、緑バージョンのみが使用されていたのも納得がいく。
月刊「トイジャーナル」1981年6月臨時増刊には、赤バージョンの写真とともに「クイズブックNo.2」「クイズブックNo.3」が“予価”1,500円と掲載されている。赤バージョンは、これら2冊の新作クイズブックと一緒に1981年の夏以降に発売されたと推測できるが、はたして……?
赤バージョンのパッケージと本体。パッケージは色が違うだけでなく、右半分に描かれたイラストも緑バージョンとは異なる。
赤バージョンのブックカバーとクイズブック1。
左側が緑バージョン、右側が赤バージョンの「クイズブック1」の中身。赤バージョンでは、漢字にルビが振られているのに加え、緑バージョンのNo.32のA欄でのミスプリント「イタア語」が「イタリア語」と正しく修正されている(ほかにも修正箇所あり)。
月刊「トイジャーナル」1981年6月臨時増刊号に掲載されている、「クイズブックNo.2」「No.3」の情報。ちなみに、「No.2」は青い箱だった。